ソフトバンクグループの財務状況 その2
CC) 事業子会社の財務状況
ソフトバンクグループに関しては、”国内通信大手の一角たるソフトバンク㈱を傘下に持っているから、大丈夫”という見方もあるかもしれない。
確かに社会インフラとしての通信事業は安定性があり、今後それなりの成長も望めよう。
ソフトバンク㈱は2018年12月にソフトバンクグループが保有していた持ち分のうち33.5%を売り出す形で上場し、ソフトバンクグループは2兆3,498億円(税考慮前)の資金を調達している。(ソフトバンクグループは約2兆円が使える、としている)
具体的にソフトバンク㈱の直近の状況を見てみよう。
昨年2019年6月にZホールディング(ヤフー他)を連結子会社化し、通信以外の事業部分も大きくなり、やや見えにくくなっているが、大方以下の通り。
2019年12月末 B/S
総資産 9兆9,658億円
自己資本 1兆6,843億円
有利子負債 5兆,3520億円
なお有利子負債の中身は以下が中心
借入(銀行?) 3兆7,684億円
リース 1兆1,157億円
2019年12月までの9ヵ月 キャッシュフロー
利益 4,691億円
償却 4,971億円
営業キャッシュフロー 7,931億円
投資キャッシュフロー ▲7,294億円
財務キャッシュフロー 1,778億円
現金収支 2,412億円
今後も5G関連投資も続くであろうから、いわゆる財務活動前のネットキャッシュフローが大きく伸びて金がジャブジャブということには当面ならないと思われる。
一方でソフトバンク㈱のFY2019の配当予想を85円/株。配当総額は約4,000億円であり、ソフトバンクグループは約2,700億円の配当金を受け取ることになる。
ただしソフトバンク㈱の上場前は例えばFY2017にはソフトバンクグループに対し1兆円以上の配当を行ったこともあることとの対比では、当たり前であるが、上場を通し生じた少数株主の存在もあり、理屈の上でも、実際的にも親会社ソフトバンクグループとしては100%子会社のような扱いはできなくなっているといえよう。
従ってソフトバンクグループにとってソフトバンク㈱の位置づけは
a. 連結利益の面 (3分の2の計上になるが)貢献大
b. キャッシュフロー 資金調達は独力。ソフトバンクグループの負担なし
相当額の配当金受領継続が期待可能
というところであろう。
従って冒頭の”ソフトバンク㈱はソフトバンクグループの支えとなるか?”という視点に対しては、グループの財務にとって相当大きなプラス材料ではあるが、19兆2,500億円う有利子負債を、ソフトバンク㈱だけで支えきれるものではない、という見方が妥当であろう。
以上