ソフトバンクグループの財務状況 その5

EE) ”株主価値情報”アプローチの妥当性

1.実数ベースへの翻訳

先に上げた計算式を会社のバランスシート上の数字と対比させるため、”一株当たり”から”実態数字”に変換する(発行株式数2,071百万株を乗ずる)と以下の通り。

(2020年3月31日の数字)

 

株主価値(22兆1,824億円)=保有株式(28兆2,132億円)-純負債(6兆307億円)

 

ちなみに保有株式の内訳は以下の通り

アリババ           6,716円/株   13兆9,088億円

ソフトバンク㈱        2,081円/株   4兆3,097億円

スプリント          1,515円/株   3兆1,375億円 

Arm              1,282円/株     2兆6,550億円 

ビジョンファンド                          1,494円/株   3兆940億円

その他             534円/株   1兆1,059億円

(注:アリババ以下の3銘柄は上場株式のため、その価値は”日時更新”)

 

アリババ株式の資産価値の大きさには改めて驚く。

 

もし”株主価値”の概念がそれなりに”正しい”ものなら、ソフトバンクグループの市場価格と”株主価値”の乖離は大きすぎるというべきだろう。

 

一方まったくコンセプトが異なるので当たり前なのだが、”保有株式”の額あるいは”純負債”の額と2019年12月末におけるソフトバンクグループの連結ベースの総資産額、39兆4,064億円あるいは有利子負債額、19兆2,500億円との間にはそれぞれ相当の乖離が存在する。”株主価値”の背後にある考え方あるいはその妥当性を検討する必要がどうしてもありそうだ。

 

以上